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はじめに
それはBreakthroughだ!
偏光マジック ニコルのかべぬけは偏光板を使った科学工作キットです。William Nicolは19世紀の科学者で、自然光から直線偏光を得るニコルプリズムを発明し、これが鉱物顕微鏡の誕生につながっていきます。20世紀には紙のように薄い偏光フィルムが開発され、カメラの偏光フィルターやサングラス、液晶テレビへと進化していきます。この科学工作キットを、ニコルプリズムを発明したWilliam Nicolや偏光フィルムを実用化したEdwin Herbert Landら多くの先駆者へ捧げます。
動画 「偏光マジック ニコルのかべぬけ」のご紹介
商品のご紹介
この工作キットの目的
- サングラス、カメラのフィルター、鉱物顕微鏡、テレビやパソコンのディスプレイなどさまざまな機器に利用されている偏光板(偏光フィルター)とはどういうものか、観察・実験・工作を通して基本的なはたらきを理解する。
- 偏光板を通して身の回りを観察することで自然界では偏光という現象が日常的に起きていることを理解する。
- 偏光の発見、偏光板の発明について概略を知る。
解説
箱の中に真っ黒な壁が見えています。箱の中が黒い板で二つに仕切られているようです。ところが、横の穴からペンを差し込むと・・・なんと、ペンは黒い壁をつきぬけて反対側に出てくるではありませんか!
「偏光マジック ニコルのかべぬけ」は偏光板を使った科学工作キットです。特定の向きに振動する光(偏光)しか通さない偏光板(偏光フィルター)の基本的な性質を利用したもので「ブラックウォール」という名前でも知られている有名な演示実験です。当社の書籍「つくる科学」の本でも紹介されています。
偏光という現象の発見、方解石を使った偏光装置(ニコルプリズム)の発明、そしてポラロイドの創業者が実用化した紙のように薄い偏光フィルムは、現在では誰も不思議に思わないほど私たちの社会・生活に溶け込んでいると言えます。
「偏光マジック ニコルのかべぬけ」は
1.紙箱に窓を開ける。(カッターナイフで切り抜く)
2.紙箱の内側を黒く塗る。
3.偏光板を貼る。
4.紙箱を組み立てる。
という4段階の工程を体験することで、偏光板の基本的な性質を知ることができるようになっています。詳しい説明書が付属していますので、工作をはじめる前に必ずお読みください。動画も参考にしてください。
偏光板とは


「偏光」は自然現象です。おそらくその現象は地球誕生のころ、太陽の光が地表に届きはじめたころから起きていたはずです。人類がその現象を発見したのは今から200年ほど前ですが、おどろくことに昆虫は何万年も前から空の偏光パターンを利用して方角を知ることができたということです。

偏光板のはたらき
光は波の性質をもっていると言われます。しかし、それを実感するのはむずかしいのではないでしょうか。「偏光マジック ニコルのかべぬけ」では、のり巻きを作るときに使う「巻きす」と波の形を印刷した「波カード」を使って「偏光板は特定の方向に振動している光だけを通過させる」ことを解説しています。
波カードはこの工作キットに付属しています。巻きすは付属していません。
科学工作キット「偏光マジック ニコルのかべぬけ」に付属の波カード(名刺サイズ)
上の画像では巻きすを「偏光板」に、波カードを「縦方向に振動する光」に見立てています。
上の画像は縦向きに並んでいる巻きすの細い棒の間に、縦向きに振動している光が入っていくところです。
巻きすの細い棒の向きと光の振動方向が同じ場合、光は巻きす(偏光板)を通り抜けることができます。
巻きすの棒の向きと光の振動方向がことなる場合、光は巻きす(偏光板)を通り抜けることができません。
マジックのたねあかし
これが偏光板です。紙のように薄いプラスチックのシートなので「偏光フィルム」とも呼ばれています。
当社で扱っている偏光板は薄いグレーで、1枚だけでは向こう側が透けて見えています。
ところが2枚の偏光板を重ねると、偏光板の向きによっては向こう側が見えなくなります。
これが「偏光マジック ニコルのかべぬけ」のたねあかしになります。
クロスニコル
上の図はあくまでもイメージですが、
A 偏光軸がタテ(縦方向に振動している光だけを通す)の偏光板、
B 偏光軸がヨコ(横方向に振動している光だけを通す)の偏光板です。
偏光軸が直交する(直角に交わる)偏光板2枚を重ねると、光をまったく通さなくなるので、向こう側が見えなくなります。この状態をクロスニコルといいます。
旋光性(光学活性)
鉱物の結晶やプラスチック製樹脂あるいはブドウ糖・果糖などの物質には入射した光の振動方向を変える性質を持つものがあります。このような性質は「旋光性」あるいは「光学活性」と呼ばれています。
水晶などの結晶や砂糖水など旋光性のある物質を2枚の偏光板(クロスニコル)で挟むと、光源側の偏光板を通り抜けた光は物質の中を通過するとき振動の方向が徐々に変わり(偏光面が回転し)、観察者側の偏光板を通して見ても完全に暗くはなりません。どの程度回転するかは、光の色(波長)、物質の種類、濃度、厚さによって変わります。旋光性を持った物質をクロスニコルで観察する方法は、鉱物顕微鏡による鉱物の鑑定や果物の糖度の測定などに利用されています。
鉱物顕微鏡では光源側の偏光板を「偏光子」、観察者側の偏光板を「検光子」と呼んでいます。
2枚の偏光板(クロスニコル)の間にプラスチック製のスプーンを入れたところ。
材質、厚さ、物質に加わった力の大きさによって、模様のパターンがことなるため、樹脂成型品の検査にも利用されています。これを光弾性試験といいます。
水晶球を2枚の偏光板(クロスニコル)の間に入れると、水晶球の方向によっては上の画像のような虹色の同心円が見えることがあります。この模様はガラス玉では絶対に見えないため、水晶球の真贋(しんがん)判定にも利用できます。
偏光軸の見つけ方
工作キットに付属の偏光板を1枚使います。
洗面器に水を入れて窓辺に置いてみましょう

肉眼で見たときは、上の画像のように水の表面に外の景色が映り込んでいます。
偏光板を通して水の表面を見たとき、反射光が消えるように偏光板を回してみてください。
洗面器の水の表面の反射光が消えたとき、偏光板は水平方向に振動する光をさえぎったことになります。この場合、縦方向に振動する光は偏光板を通過するので、縦の方向を偏光板の「偏光軸」あるいは「透過軸」と呼びます。
カメラマンが湖や川を撮影するとき、水面のキラキラを抑えるために使用するPLフィルターには偏光板が使われています。
取り扱いショップ
偏光板および偏光板を使った教材は下記のショップにて販売中です
Am a z o n |
楽天 市 場 |
Ya h o o ! | |
|---|---|---|---|
| 偏光マジック ニコルのかべぬけ | ● | ● | ● |
| 偏光板 1000×620mm | ● | ● | ● |
| 偏光板 620×500mm | ● | ● | ● |
| 偏光板 250×250mm | ● | ● | ● |
| 偏光板 125×125mm | ● | ● | ● |
| 枠付き偏光板 | ● | ● | ● |

余談
光とはなにか
「Newton(ニュートン)」という科学雑誌があります。最近は能登半島地震やChatGPTなどタイムリーなテーマでも特集を組んでいますが、1981年の創刊以来、何度も「光とはなにか」という普遍的な問題を扱っています。
そもそも光は「波」なのか「粒子」なのか。朝永振一郎氏らとともにノーベル物理学賞を受賞したリチャード・フィリップス・ファインマン氏は「光と物質のふしぎな理論」(岩波書店)の中で「光は粒子から成る」と言いつつ「波と粒子の二重性」という記述もみつかります。ニュートンが活躍していたころから科学者たちを虜(とりこ)にしてきた光は電磁波とも呼ばれ、色のちがいは波長のちがいだと学校でも習います。少なくとも偏光板のはたらきを理解するには光を波と考えなければならない・・・波と考えた方が都合がよいことがわかります。
偏光板という、いまでは容易に入手できる道具を使って光の秘密の一部でも体験していただければ、と思って商品化したのが「偏光マジック ニコルのかべぬけ」です。付属の説明書では書ききれなかったことを少しご紹介します。
右回り、左回り
「偏光板とは」の章で旋光性について述べましたが、さらにくわしく調べると、光の振動する向きが右回りになるのか、左回りなのか、物質によって異なることがわかります。旋光性には右回転、左回転があるということです。なぜ物質によって回転する向きが異なるのか、もはや初等中等教育の範囲を超え、かなり専門的な話になりますが、興味のある方は調べてみましょう。
本物ですか? その水晶球
偏光軸が直交する2枚の偏光板(クロスニコル)で水晶球を挟むと、虹色の同心円が見えます。ガラス玉では見えません。これを簡単に確かめることのできる観察器があります。
ネコポスで送れる水晶球観察器
観察する際には光源が必要です。いろいろ試した結果、「電球形蛍光灯」がもっとも適しているようです。白色発光ダイオードでは、ぼんやりとした同心円しか見えないのはなぜでしょう?
LEDのメーカーの方にも、ぜひ一度おためしいただきたいと思います。
金属では偏光は起きない?
「偏光マジック ニコルのかべぬけ」の説明書「7.偏光板の向き(偏光軸)の見つけ方」の中に「金属以外の光沢のあるもの」という記述があるように、反射による偏光は非金属の物資の表面でしか観察できません。なぜ金属の表面では偏光が起きないのか。金属が導体であることと関係がありそうですが、かなり専門的な話になるようです。「光(可視光)は電磁波の一種である」ということを頭の片隅において、この工作キットに付属の偏光板を使って身の回りをよく観察してみましょう。キッチンのステンレスシンク、マンホールのフタ、アルミホイル、ピカピカの10円玉はどうでしょう?
3Dメガネ
映画館で3D映画を観るとき、入り口で持ち帰り可能なサングラスのようなものをもらったことがあります。ブームが去ったのか、最近は見かけませんが、この3Dメガネは偏光板と「波長板」を貼り合わせたものです。このメガネは前述の「水晶球の観察」にも使えます。もし3Dメガネをお持ちの方はぜひおためしください。
甲虫と偏光板
3Dメガネに使われている偏光板+波長板は「円偏光板」と呼ばれています。この円偏光板を通して甲虫を観察すると、円偏光の向きによって見え方が変わることがあるそうです。なぜ甲虫はそのような進化をとげたのでしょう。不思議としかいいようがありません。これも、興味のある方はぜひ確かめてください。
「メタファーの話」のご紹介
「偏光マジック ニコルのかべぬけ」では「巻きす」と「波カード」を使って偏光板のはたらきを解説していますが、これはあくまでも「偏光板には方向性がある」ことを示すためのメタファーです。シータスクの
「偏光板特設ページ 偏光板の話」の中の「メタファーの話」 で詳しく解説しています。





